Seikomatic Archive

Original:2004/05/04
Update:2011/03/25


セイコーマチックの防水ケース裏蓋中央には「イルカマーク」が付いています。

6216−8000裏蓋イルカメダル

クロノメーター機のライオンメダルの様に豪華でも有名でもありませんが、可愛いイルカさん達です。

セイコーの本格的な防水腕時計は「高級防水腕時計」として1959年12月に発売された「クロノス防水仕様」でした。
その裏蓋には「タツノオトシゴ」の意匠が付けられており、後の1961年2月頃に発売された「シーホース」
というペットネームで再登場した製品の裏蓋にも「タツノオトシゴ」意匠が付けられていました。
その後も手巻製品には「タツノオトシゴ」意匠が継続して使用されています。
(チャンピオン、スポーツマン防水モデル、クラウンクロノグラフなど)

SeaHorse:タツノオトシゴ

海洋動物シリーズとしては下記のような製品がありました。

ベースとなった製品
ペットネーム
クロノス シーホース タツノオトシゴ
チャンピオン フライングフィッシュ 飛び魚
スポーツマン ドルフィン イルカ
ファッション エンゼルフィッシュ
セイコーマチック シーライオン トド

セイコーマチックにおいては、上記「スポーツマン・ドルフィン」と同じ1962年頃の
20石防水モデルの裏蓋、金属バンドに「イルカマーク」が初めて採用されたようです。
(マチック最初の防水側製品であるため当然か?)

その後のセイコーマチック防水製品の裏蓋には、1967年頃に裏蓋刻印「SEIKO」に移行するまで、イルカマークが付いていました。
 同じ「イルカマーク」は、「スポーツマチック」にも見られますが、こちらは同一デザインの様で、イルカ意匠のバリエーションは無い様です。

私がセイコーマチックを集め始めて間もなく「裏蓋イルカ」の存在に気付き、高級品には「裏蓋イルカメダル」もある事を知り、『いつかはその全貌に迫りたい』と思っていました。
と申しますのは、裏蓋の「イルカ刻印」は、腕時計の通常使用における磨耗で裏蓋情報と共にほとんど見えなくなっているものが多いために、鮮明な形状はデッドストック品でも無ければなかなかお目にかかれない物だったのです。

1.裏蓋イルカ族

生 息 地 / 特 徴
裏 蓋 画 像
拡 大 画 像
セイコーマチック20石
J13044
1962年3月

セイコーマチックの最初のイルカマーク付き製品と思われる。オリジナル金属バンドの留め金部分にもイルカマークが入っていたのを見た時には「小さな感動」があった。

セイコーマチックセルフデーター39石

J13060

1963年?

王冠マーク付きは「WATER PROOF 50」の50メートル高級防水製品。
更に機械の石数「39」の表示も誇らしげである。
こちらも、通常使用されていた物は磨耗により、なかなか見る事ができない。

セイコーマチックセルフデーター39石

J13085

1963年?

上のJ13085と比較してイルカが微妙に細くなっている。ダイエットしたのであろうか?ダイエットに成功して目が笑っている様にも見える。

セイコーマチックセルフデーター39石

J13083

1964年?

当時、一番深いところまで潜る事ができたイルカ(70メートル防水)。
このメダルイルカでは、通常使用により磨耗する事は考えられない。
某コレクターは、このGCケースについて『当時国内で生産できなかったため、海外で特注生産した。』と仰っていたが、裏蓋の裏面に「鶴のマーク」が入っているので自社生産では無いのかな〜??

セイコーマチックウィークデーター33石

40898

1964年4月

初期ウィークデーターは、標準防水(30m)のため「王冠マーク」が無く、ちょっと寂しいイルカ。
その代わり、イルカのサイズが若干大振りになり、イルカの向きが「上向き」から「横向き」になっている。
王冠マークが無い空間のバランスを取った結果、横向きにしたのであろう。

セイコーマチックウィークデーター26石

6206−8990

1964年11月

この6206のイルカも王冠が無いタイプであるが、上記400のイルカと微妙に異なることが判る。
(胸びれの形状(特に右手)が異なる。)
横向きデザインにしても王冠マークが無い空間の寂しさを紛らわせるため、イルカマークを中央に配し、下部に裏蓋シリアルNo.を再配置している。

セイコーマチックウィークデーター26石

6206−8010

1966年11月

6206のイルカで「王冠マーク」が付いているのは、この「#8010」のみで、他の6206には王冠が付いていない。
「王冠マーク」は「高級防水(50m)」のマークなので、この6206の初期グループと思われる8010のみが50m防水だったのか?

または、ウィークデーター35石との差別化のため8010以降の26石からは王冠をあえて外したのか?。謎である。

セイコーマチックウィークデーター35石

6218−8950

1966年7月

上記6206のイルカと同一に見えるが、
 ・くちばしが短い。
 ・胸びれの形状(特に右手)が異なる。
ことから、別の型によって製作されていることが判る。

セイコーマチックウィークデーター35石

6218−8971

1965年11月

6218のGCケースは2種類あり、「#8970」は刻印イルカで「#8971」はメダルタイプになっている。
GCケースの高級感を演出するためと、通常使用による磨耗の対策のためと思われる。

62セイコーマチックウィークデーター

6216−9000(前期型)

1965年9月

「SEIKO」のロゴが大きくなり、イルカの目がパッチリとして可愛くなった。
他の62系と同じ刻印タイプでも、一層掘りが深くなっており、製品グレードの高さを伺わせる。

62セイコーマチックウィークデーター

6216−9000(後期型)

1966年8月

刻印タイプの通常使用による磨耗の対策か?刻印タイプの製作コスト(エッチング加工)削減のためか?後期型は、メダルタイプ(プレス、または彫刻加工?)に変更となっている。
歴代イルカの中でも一番バランスの取れた秀逸なデザインである。

83セイコーマチックカレンダー39石

8325−8000

1966年3月

83系唯一のメダル仕様。
現在(2005年5月)のところ、8325における刻印タイプの存在
は確認していない。
上の6216のイルカとは口元、目の位置が微妙に異なるため、別の金型から製造されたものであろう。

83マチックカレンダー30石

8305−0020

1965年5月

83系のイルカは、上記62系のイルカより更に「横向き」になっている。ほとんど真横を向いている。

83セイコーマチック−R30石

8306−8001

1966年8月

83系後期のイルカは、くちばし、胸びれが尖っているのと目が小さいのが特徴。

2.その他イルカ族

生 息 地 / 特 徴
画 像
拡 大 画 像
スポーツマチック純正風防の紙袋

SMAW22W

年代不明

風防の袋にイルカマークが付いているものは少ないようで、これを発見した時には小さな感動があった。
イルカの向きが横方向なので、83系イルカと同年代(1965年後半〜66頃)と思われる。
袋に記載されている「SMAW22W」の部品番号は「外装部品セット表」には見当たらず、どのケースの適合部品であるかは不明。

SEIKO WATER PROOF メダル

年代不明

当時の防水ケース製品に付属していたイルカメダル。
茶色っぽい銅色であるが、金メッキ製品に付属していたのであろうか?
(銀色バージョンは未確認。)

3.裏蓋アシカ(トド)族

生 息 地 / 特 徴
裏 蓋 画 像
拡 大 画 像
セイコーマチック・シーライオンM55

6201−8960

1965年2月

シーライオンは海洋生物シリーズの中でも謎のモデルで、1963年〜67年頃まで製造されていたようである(裏蓋刻印Noによる)が、当時の製品カタログには掲載されていない。
(外装部品セット表には、記載あり)
また、ウィークデーターの曜日表記が「MON1」となっているため、輸出専用モデルだったのではないだろうか?
日付/曜日なしの21石、セルフデーター24石、ウィークデーター26石、83系にもシーライオンが存在するが、裏蓋刻印は「M44」、「M55」、「M77」、「M88」、「M99」等あり。
「M××」の意味は不明。

SEIKOMATIC-R・シーライオンCR-220

8306−8090

1968年10月

83系のシーライオンは「M××」シリーズとは異なる「CR−220」という番号が付いている。

その後の調査で、シーライオンは手巻のスカイライナーに「L××」、チャンピオンに「C××」という番号が付いた製品を確認したことから、「L」はライナーのL、「C」はチャンピオンのC、「M」はマチックのMではないかと推測している。

(2011/3/25追加)

4.タツノオトシゴ族

生 息 地 / 特 徴
画 像
拡 大 画 像

SEIKO ロードマーベル規正付

5740−8000

1966年11月

ロードマーベル(手巻)の防水ケース製品でハイビート36000になる前のキャリバー5740B(5.5振動)搭載モデル。

SEIKO WATER PROOF メダル

年代不明

当時の防水ケース(手巻)製品に付属していたタツノオトシゴメダル。
こちらも銀色は未確認。
直径:24mm

 今回、マチックイルカの形状のバリエーションを再度見直し、改めてこんなに種類があった事に驚くと同時に、当時の物造りの丁寧さに感心しました。
細部の差異は、ケース番号別に原版が製作されていたからではないか?と推測されます。
 現在と比較すると原画デザインも素朴さの反面、古臭さが感じられるかも知れませんが、「タツノオトシゴ」も「イルカ」も、図案としての完成度は高いレベルにあると思います。
金型(ケース)加工技術も劣っていたかも知れませんが、細部を見れば見る程デザイン、構成が良く考えられた物である事が感じられます。

 近年、某デジタル腕時計に「イルカクジラモデル」なる物があった様ですが、そのイルカのデザインはどのようなモノだったのでしょうか?
個人的には、ちょっと気になるところではありますが、わたくし、その実物を見た事が無いのです。(^_^;)

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