Original:2004/03/07
Last Update:
Japanese text only
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製品名:セイコーマチックウィークデーター
キャリバーNo:6218A、B、C(35石) 略称:MAWK 製造開始(個体検証による推定):1965年2月 最古確認個体:1965年2月 最新確認個体:1966年10月 |
1999年に徳間書店から発売された「THE SEIKO BOOK−時の革新者セイコー腕時計の歴史−」には「セイコースタイル」の説明として、セイコーマチッククロノメーターの外装デザインのラフスケッチが掲載されています。
著作権の関係上、その画像は掲載出来ませんが、これが正に6218-8950のケース形状なのです。
文字板12時下には筆記体で「Chronometer」、6時上に筆記体で「Automatic」の文字が入っています。(Seikomaticのロゴ表記は無し)
実際は、マチッククロノメーターは更に洗練されたケース形状で発売されたのですが、何故、この6218-8950のケース形状がクロノメーター機に採用されず「没」になったのかは謎です。
(ウィークデーター35石として世に出されたので、完全に没ったワケではありませんが。)
個人的には、8950のケース形状は、風格ある大変秀逸な造形だと思っています。
「没」になった理由を推測してみました。
その1:日付、曜日ディスクの段差があるため、「最高級機として相応しく無い」という意見が出た?
これは、6218のページで書きましたが、曜日機構を後付けしたために日付ディスクとの段差が出来てしまい、6時位置の曜日デザインにせざるを得なかった。(曜日を3時位置に持ってくると段差が目立ってしまうのです。)
クロノメーターは、最高の精度、最高のデザインで売り出したかったため、細部の仕上げにも完璧を求められたのでしょう。
しかし、ウィークデーターの次のモデル「6216」では、曜日ディスクを文字板に対して下げるのでは無く、逆転の発想とも言える日付ディスクを文字板方向に「かさ上げ」するという裏技で日付曜日ディスクを「ツライチ」にすることに成功しています。
求められるデザインの要求に応えるためには、ハードウェア(機械)のバージョンUPを待たなければならなかった、ということでしょうか?その2:ケース形状が比較的あっさりしているため「もうひとひねり欲しい」という意見が出た?
1960年代の日本の某自動車メーカーでは、新車のプロトタイプデザインが出来上がると、社内の重役さん、お偉いさんが一同に集まって、クレイモデル(粘土で作った実物大の模型)を前にして「あーでもない」「こーでもない」「もっとこういう風にはならんのかね」とか言う「ダメ出し」を行う「重役審査」というものがあったそうです。
何回かの手直しを経て、晴れて新車となるクルマもあれば、この審査で没にさせられたものも多かったとか……
当時のセイコー社内にそういった制度があったかどうかは定かではありませんが、似たような事情があったのかも知れません。
(某自動車メーカーの「重役審査」はその後、「デザイン感覚にうといジイサマ達に、苦心の作を潰されてはたまらない」ということで、ある人が某車のフルモデルチェンジの際、トップに掛け合って無くしたそうです。(^_^;))
新製品紹介(セイコーニュース1965年8月より)
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高い精度をおもわせる格調ある時計として好評のMAWK。1つ窓のSGP側が生まれました。 ユニークなデザイン、秒針規正装置、50m防水ケース入りなど、「時計にうるさいお客様」に満足していただける新製品です。 休日にゴルフを楽しむような、あるいは会社で管理職にあるような、紳士のステイタスシンボルとしておすすめください。 セルストークは (1)セイコーマチックウィークデーター(SGP側)は精度デザインとも大変すぐれています。便利な日・曜日カレンダーも1つの窓に囲んでおり、お忙しい方には便利な時計です。 (2)あなたのような生活をなさっている方に持っていただく時計です。 標準小売価格 SGP側 20,000円 |
購入客層に「年輩サラリーマン」を意識した製品だったようです。
1.文字板のバリエーションと搭載キャリバーの検証
(2004.8.27現在 検証個体数:22)
文字板No
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製造年月
画像 |
1965
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1966
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1
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3
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4
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5
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6
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8
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9
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10
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12
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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7
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8
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9
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10
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11
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12
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6218-8950TAD
(SSケース) |
6時上「MADE IN JAPAN」 |
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A
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6時上「JAPAN 6218」 |
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B | B |
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6時上「JAPAN 6218」 |
B
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B
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C
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C
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6218-8950TAD (SGPケース) |
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A
A |
?
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B
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?
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B
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C |
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?
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B
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(注)製造年月は、ケース裏蓋シリアルNoからの推測に過ぎない。
機械と外装ケースは別々に製造されるため。 また、「裏蓋」、叉は「伝え受け」、叉は機械自体が後年交換されている個体もあると思われるため。 |
調査結果からの推測 ・6時上に「MADE IN JAPAN」表示は、SSケース最初期(1965/2頃〜1965/5頃)。 ・1965/6以降は「JAPAN」表示。 ・SGPケースの文字板「Weekdater」表示は比較的短期間(1965/6〜1965/11)だった?。 調査から判明した新事実 ・SSケース裏蓋の防水表示の差異 「WATER PROOF 50」(1965/2頃〜1965/8) 「WATER PROOF」(1965/9〜) |
ケース番号
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材質
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上段:製造年月
下段:文字板記号 画像クリックで詳細を表示 |
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6218-8950
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SS/SS
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1965/2
MADE IN JAPAN 6218-8950TAD |
1965/10
JAPAN 6218-8950TAD |
1966/7
JAPAN 6218-8950TAD |
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SGP/SS
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1965/6
JAPAN 6218-8950TAD |
1965/8
JAPAN 6218-8950TAD |
1965/10
画像提供:Martin Backman氏 |