Original:2004/03/07
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Japanese text only
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製品名: セイコーマチックウィークデーター キャリバーNo: 略称: 発売開始(セイコー社資料より): 最古確認個体: 最新確認個体: |
1.特徴
セイコーマチックウィークデーター33石(400)に、緩急微動調整装置、秒針規正装置を付加し、高級化した機種です。
ウィークデーター33石(400)が枝分かれして、準高級機26石(6206)と、高級機35石(6218)に再構成されたものです。
個人的には、62系を代表する機種であり、このセイコーマチックウィークデーター6218の製品化が「セイコーマチッククロノメーター」、「62グランドセイコー」への布石となった重要な製品だと思っています。2.外装
(1).ケース
ケースの種類は、意外と少なく6形式、10種類。
そのうち、18Kの6218-8960は未確認。
(2004.07.06:18Kケースの現物は未確認ですが「セイコー外装部品セット表」、「セイコーセールスノート(1965年)」に記述があるため、製造個数は極少数(受注生産?)ながらも確かに現存する、ということです。)
(2007.06.02:18Kケースの存在を確認することができました!(情報提供:zensuga氏))
6218−8960(18K側) こちらで公開中です。
6218-8970が、初期の製品と思われ、セルフデーター規正付き(395)のGCケースと同型の「テンションリング付き風防」が採用されている。
(395のGCケースと風防の部品Noも同一だが、395は70m防水、6218は50m防水)
(2).文字板
白文字板、黒文字板あり。金色、銀色共にADのみ存在。SDは、未確認。
コママークが付いているのは8970、8971のみ。
「Seikomatic」のロゴマークは、8950、8970、8971は筆記体、8000、8010はブロック体、8960は未確認。
(2007.06.02:8960(18Kケース)の文字板を確認することができました!(情報提供:zensuga氏)
8960の文字板には「コママーク」も「Seikomatic」のロゴマークも無く「Weekdater」「DIASHOCK 35 JEWELS」のみ。
(3).日、曜車(日付、曜日表示)
日付窓の大きさ、および日付字体は1種類のみ。
曜日は8010、8970、8971、8960は、6時位置にフルスペルで「MONDAY」の様に表示。和文字表示「月曜日」もあり。
8000、8950は、3時位置に「MON」の様に表示。和文字表示は未確認。
(コママーク、植字マークの有無に関して、純正部品として残存する補修用文字板には例外あり。)
ケースNo
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側質
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文字板記号
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コママーク
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WEEKDATER表示
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植字マーク
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Seikomaticロゴ
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曜日窓 |
6218-8970
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SS
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6218-8970TAD
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あり
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あり
|
あり
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筆記体
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6時上
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GC
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6218-8971
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SS
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6218-8971TAD
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あり/なし
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あり/なし
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あり/なし
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SGP
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なし
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あり/なし
|
なし
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||||
GC
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なし
|
なし
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|||||
6218-8950
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SS
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6218-8950TAD
|
なし
|
あり/なし
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なし
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3時
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SGP
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|||||||
6218-8000
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SS
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6218-8000TAD
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なし
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なし
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なし
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ブロック体
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6218-8010
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SS
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6218-8010TAD
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6時上
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6218-8960
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18K
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6218-8960T
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なし
|
あり
|
なし
|
なし
|
6時上
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ウィークデーター400(33石)から始まり、6206(26石)、6218(35石)初期製品に至るまで、曜日窓は6時上に位置しています。 このデザインを「ダサい」、「バランスが悪い」、「好きじゃ無い」とおっしゃる方もいらっしゃるのですが、発売当時も同じような意見が有ったのか?中期の製品6218−8950では、日付窓と同じ3時位置に曜日を表示する製品が出て来ます。 |
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何故、6218−8950の窓には「仕切り」が必要だったのでしょう?。 |
6218−8950の機械を良く見ると、文字板に対して日付車と曜日車の高さに段差が有ります。 窓を一体化すると、どうしても段差が目立ってしまいますね……。当時のデザイナーさんは困ったのではないでしょうか?。 |
改めて6218の機械の生い立ちを見て見ますと、ベース機械の603設計当初には、日付/曜日のオプションは無く、セルフデーター394(24石)で日付を、ウィークデーター400(33石)で曜日を追加されたものなので、日付車と曜日車の段差が有ります。 この段差が目立つために、日付窓と同じ3時位置に曜日を表示するデザインを採用したく無かったのだと思います。 更に、曜日表示を格調高くフルスペルで「MONDAY」と表示させるためには3時位置では狭く、6時上に持って来るのが自然だったのでしょう。 時代の流れで3時位置に日付曜日の一体表示デザインが求められ、仕方なく日付窓と曜日窓の間に「仕切り」を付けざるを得なかったのではないでしょうか?。 しかし、この「段差問題」が後に「セイコーマチックの最高級品:国産初の自動巻クロノメーター」をデザインする際には問題となるのです。 その問題とは……??→6218−8950Archive |
(4).風防のレンズ有無
デッドストックの個体に「レンズなし」のものを確認した。
当時の「セイコーニュース」の写真も「レンズなし」となっている。
3.機械
(1).基礎輪列
ロジュウムメッキが施され、個体番号の刻印は無し。
香箱受けと2番受けが1体パーツのみ確認。
395と同様の秒針規正装置を搭載。
6206(26石)より増加した9石は日車(カレンダーディスク)下に7石、曜日車下に2石。
日車下の7石は、400(33石)と同様。
機械外観
Cal:6218A
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Cal:6218C
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Cal:6218A(機械地板画像)
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Cal:6218B(機械地板画像)
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Cal:6218C(機械地板画像)
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日車(カレンダーディスク)下に7石。
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6218Aと同様に日車下に7石だが、石の配置が異なる。
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6218Bより、更に4番目の石の位置を変更。
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6218B、Cは、曜日を切り替える「曜送り車」の形状が変更になっており、6218Aよりも日付曜日切り替えに要する時間帯が約30分短縮されているようです。 日付ディスクが動き出し〜曜日ディスクが切り替わるまでの実測値 6218A(22:30〜25:00)、6218B、C(22:30〜24:30) これが何を意味するのか?と考えたところ、日付曜日ディスクを切り替える時間帯は動作負荷が掛かり、極端に負荷が高い場合テンプの「振り落ち」と言われる状態となります。 そのため、この切り替え時間帯が短かければ短い程、腕時計本体の精度向上に寄与することになります。 |
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上記のことから、日車下の7個の石は「振り落ち」を減少させるための効果が少なからずあったと思われ、単純に「多石化競争の産物」とは一概に言えないようです。 |
(2).緩急微動調整装置
6218A、Bは、グランドセイコーセルフデーター(430、5722A)と同様の機構を62マチック系で初めて搭載。
6218Cは、グランドセイコーカレンダー(5722B)と同様の機構を搭載。
緩急微動装置
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6218A、B
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「オタマジャクシ型」の緩急微動レバー。
1目盛りで約10秒の緩急調整が可能。 |
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6218C
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「歯車式」の緩急微動装置。
微動車(歯車)をドライバーで回転させ、 1°で約4.4秒の緩急調整が可能。 ひげ持ちの形状も三角形に変更されている。 6216A、6245A、46Aに継承された。 |
(3).自動巻機構
回転錘(ローター)に衝撃吸収切り込み有のみ確認。
ローター刻印は「SEIKO」のみ。
(4).製造年月(注)によるキャリバー分布調査
(2009.3.29現在 検証個体数:44)
製造年月
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1964
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1965
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1966
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1967
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5
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6
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7
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8
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9
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10
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11
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12
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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7
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8
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9
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10
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11
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12
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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7
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8
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9
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10
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11
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12
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1
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2
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3
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4
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6218A
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○ |
○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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||||||||||||||||||||||||
6218B
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○
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○
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○
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○
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○
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6218C
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○:存在を確認した個体
(注)製造年月は、ケース裏蓋シリアルNoからの推測に過ぎない。
機械と外装ケースは別々に製造されるため。 また、「裏蓋」、キャリバーNoが刻印されている「伝え受け」、 叉は機械自体が後年交換されている個体もあると思われるため。 |
調査結果からの推測 ・6218Aの占める割り合いが多い。(22/43) ・6218Bの占める割り合いが少ない。(8/43) ・6218Aの製造終了は、1965年6月? ・6218Bの製造開始は、1965年6月?(情報提供:zensuga氏 2009.3.29) ・6218Bの製造終了は、1965年11月? ・6218Cの製造開始は、1965年11月? |
4.当時の価格
ペ ッ ト ネ ー ム
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CAL No.
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石数
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側質 |
防水
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現金正価
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セイコーマチックウィークデーター
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6218A/B/C
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35石
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SS/SS |
防水
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18,000
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SS/SS(ハードレックス付#8000) |
19,500
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SGP/SS(LB) |
20,000
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SGP/SS(MB) |
21,000
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GC/SS |
26,000
|
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18K |
120,000
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(2004.07.06:18Kケースの現物は未確認ですが「セイコー外装部品セット表」、「セイコーセールスノート(1965年)」に記述があるため、製造個数は極少数(受注生産?)ながらも確かに現存する、ということです。)
(2007.06.02:18Kケースの存在を確認することができました!(情報提供:zensuga氏)こちらで公開中です。)