Seikomatic Archive

Original:07.2.10
Update:07.2.10
Japanese text only


セイコースーパーは精工舎初の「本中三針」腕時計です。

SEIKO SUPER 1954年9月製造(推定)

 本中三針(ほんなかさんしん)とは、「本式中三針」という意味で、それまでの2針+小秒針(スモールセコンド)から秒針が文字板中央に位置する「センターセコンド」として1950年7月に製造が開始されました。
 敢えて「本式」と言うのは、スモールセコンドの輪列構造で歯車を1つ加えて秒針を中央に配置した「出車中三針」や、スモールセコンドの機械をセンターセコンドに改造した「改造中三針」などが存在したためです。


12時下に「S」マーク

 この時代の文字板からは素朴な暖かみが感じられます。意匠(デザイン)はもちろん、当時の加工技術から醸し出されるものでもあるのでしょう。
 現行のセイコーメカニカルウォッチ(SARA001,003,005)の文字盤で用いられている伝統の転写技術「グーデルカット」などという由緒正しき血統書付きの卓越したデザインバランスの洗練されたスタイルの足下にも及ばないながらも、雑種の子犬のような可愛らしさに満ち溢れています。
 当時のケースと文字板、針などの外装部品の組み合わせには特に規則性は無く、組み立て工場では現場の親方(班長さん?)のような人が箱に入ったパーツを持って来て「今日はこれとコレね。ヨロシク!」という具合に組み立て工の人に指示していたとか。
 外装部品の「6246−9000」のようなコードナンバーによる管理は、セイコーでは1960年代中頃からですから、おおらかな時代だったのでしょう。
 「Sマーク」は、一説には「蛇を意匠化したもの」と言われますが、そうであれば、蛇年生まれの私としては嬉しい限りです。

チラネジ付き耐震装置なし8石

 ものの本によりますと、この機械はスーパーの中でも「後期型」のようです。
 2番受けの穴石(SEIKOSHAの刻印の下)には人工ルビーでは無く金属製の穴石?が使用されています。
 石が多く使用されている機械ほど高級品だった時代です。

戻る

TOPに戻る

inserted by FC2 system