Seikomatic Archive

Original:2014/01/03
Last Update:2014/01/03
Japanese text only


クロノスは1958年5月から製造が開始された第二精工舎亀戸工場の独自設計による紳士用薄型腕時計です。

Seiko Cronos Sea horse(防水ケース)

「Cronos」は、ギリシャ神話に登場する「農耕神」を意味する。
1970年代に発売されたクォーツ腕時計に「クロノス:Chronos」があるが、こちらは「時間を司る神」の意味であり、スペルが異なるが、発音が同じためしばしば混同されているようである。

1958年発売の「Cronos」でスペルを誤っていたことに気づき、後年発売したクォーツ腕時計に本来の「時の神:Chronos」の名称を改めて付与したのだろうか?(^_^.)

セールスポイント
薄型は精度が問題です。しかしクロノスは、機械の内部構造から改良され、テンプはかえって大型になっていますので精度は一層向上しております。
(*1)

(*1)セイコーニュースNo.17:1959.11より引用

Seiko Cronos Diashock 21 Jewels

初代ロードマーベルと同時期の1958年5月に第二精工舎亀戸工場で製造が開始された。

諏訪工場製のマーベルが当初チラネジ付テンプ、耐震装置なしであったのに対して、クロノスは当初からチラネジなしテンプと耐震装置(ダイヤショック)を装備していた点で後発の優位性はあったものの、マーベルを超えた製品に仕上がっていた。

流れるような線を持つ優美な受けの付いた薄型機械

後に保油装置ダイヤフィックスも装備し、同時期に諏訪から発売された「クラウン」に対抗した。

ダイヤフィックス(保油装置)付21石

亀戸工場で紳士用腕時計の製造が企画された当初は部品の共通化などのメリットもあるため、亀戸でもそのままマーベルの設計で同じ時計を作ったら、という企画もあったが亀戸には薄型への拘りがあった。
マーベルは厚み(4.4mm)がある。それをできればもっと薄くして4mmにしたかったのだ。(※2)

(*2)徳間書店1999年5月1日発行 「THE SEIKO BOOK −時の革新者 セイコー腕時計の軌跡−」より引用


薄さへの拘りは1955年6月から亀戸で製造を始めたユニークの時に既に存在していた。
諏訪工場のスーパーとほぼ同じ設計でスーパーの厚さ5.0mmに対してユニークは4.6mmと0.4mm薄く仕上げられていた。

その後、1960年に諏訪から発売された「ライナー」の3.3mm対し、亀戸は独自の輪列配置による紳士用薄型「ゴールドフェザー」3.0mmを開発し対抗した。
更には1969年に極薄型ドレスウォッチ6800(薄さ1.9mm)を開発し、薄さへ拘り続けた。

諏訪の「マーベル」、「クラウン」が「初代グランドセイコー」の基礎となったのと同様に亀戸の「クロノス」は1961年12月に石数を25石に増やして発売された「キングセイコー」、亀戸工場初のグランドセイコーである「44グランドセイコー」の基礎となった。

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