83SEIKOMATIC-Calendar(SEIKOMATIC-R)
8305C

Original:04.7.19
Last Update:06.1.8
Japanese text only


製品名:83セイコーマチックカレンダー
(SEIKOMATIC−R)

キャリバーNo:8305C

石数:30石

略称:83MC

機械落径:28.60@mm

機械厚ミ:4.55mm

テンプ振動数:18,000回/時

発売開始(セイコーセールス資料):
 1965年10月

最古確認個体:
 1965年7月

最新確認個体:
 1968年8月

1.特徴

セイコーマチックカレンダー(8305B)に手巻き機構を搭載し、ビジネスウォッチとしての市場拡大を狙った薄型自動巻製品です。

83セイコーマチックカレンダー:新製品紹介
(セイコーセールス:1965年10月)より
洗練されたデザイン、すぐれた精度の自動巻カレンダー、セイコーマチックカレンダー(83MC)が誕生!。コンパクトな薄型はどなたの腕にもピッタリです。三段式リューズにより日付変更も簡単に行えます。フォーマルな服装にマッチするセイコーマチックカレンダー(83MC)はビジネスウォッチとしてお客様におすすめ下さい。

標準小売価格 WP SS側(革バンド付き)………14,000円

 1965年と言えば、管理人の生まれた年であり、日本は高度経済成長(注)のまっただ中でした。
世の中は経済活動、会社中心に廻っていたのでしょう。腕時計にも「ビジネスウォッチ」という新たなジャンルの製品が求められていました。
その求められる機能とは
 1.自動巻(薄型、かつ手巻機構付き)
 2.カレンダー(ウィークデーター)
 3.防水ケース
 4.薄型の洗練されたデザイン
これらの全てを満たす製品が83セイコーマチックカレンダー(ウィークデーター)であると言えるでしょう。

 この「ビジネスウォッチ」という製品群は腕時計の中でも主要な位置を占めるようになり、翌1966年5月中旬より、62系セイコーマチックウィークデーター26石をSEIKOビジネス、83セイコーマチックウィークデーターをSEIKOビジネスAとしてセイコーは社を挙げて販促活動に取り組んで行きます。
 「ビジネスウォッチ」製品は、51マチックP、51プレスマチックを経て56ロードマチックでの爆発的な販売実績で完成期を迎えます。マチック83系は、ビジネスウォッチ飛翔への序章的製品だったと言えます。

(注)高度経済成長:
1960(昭和35)〜1973(昭和48)年のオイルショックまでの約15年間という説と、1955(昭和30)〜1975(昭和50)年の約20年間という諸説あり。
どちらにしても、管理人の誕生年1965〜1967年辺りがそのまっただ中だったということになる。

2.外装

セールスポイントである「洗練されたデザイン」は所謂「セイコーデザイン」と言われる3次曲面、超逆斜面、フラット風防等を駆使したカッコイイものが多い。
文字板の植字にも、後に「高植字」と呼ばれる特徴あるデザインの製品もあり高級感を強調している一方で、近未来を意識したような、ある種「国籍不明」な個性的(宇宙的?)デザインの製品もあり、マチックファンの中でも好みが別れる所であろう。

国 籍 不 明 な 宇 宙 的 デ ザ イ ン
8305−1010
8305−8050
8305−5000

(1).ケース

62系から83セイコーマチックカレンダーまで4時位置のリューズだったが、手巻き機構を搭載したため、3時位置となる。
83セイコーマチックカレンダーのポコタイプから、全てスクリューバックの防水ケースとなった。(8305−5000を除く。)
薄型のワンピースケースもマチック系では初めて採用され、防水性、気密性を高めている。
SS、SGPの2種類のみ。

(2).文字板

ADのみ確認。
1968年頃の製品から6時上に諏訪精工舎マークの表示が付いている。
1967年末〜1968年以降に製造された他の諏訪精工舎の製品の文字板にも諏訪精工舎マークは付けられている。(ロードマーベル36000、61グランドセイコー、56ロードマチック、56KS、56GSなど)

この「諏訪マーク」は1963年頃まで文字板に付けられていた「植字マーク」とは意味合いが異なり、製造工場(諏訪/亀戸)を区別するためのものであったのか?

・植字マークの文字板表示は1964年頃廃止。
・1965年以降は植字文字板を「AD」に統一。

諏訪精工舎のマーク

83マチックスリムデート、マチックカレンダー(8305B)では、高級時計にふさわしく日付文字を美しく見やすい大きさにするために日車を非常に大きくしたが、この83マチックカレンダー(8305C)では、外装(ケース)の全体的なデザイン重視のために、やや小さい日付文字となっている。

8305B
8305C

重厚さ(8305B)から軽快さ(8305C)へ。
これも、当時の時代の流れを象徴しているのかも?

(3).スカイライナーカレンダー(SLNC、61SLC)との類似性

62系マチック(603)とライナー(3140)は基礎輪列が同じ兄弟機種であったが、83系マチックとスカイライナー(6222、6102)には外装デザイン上の類似性が見られる。

83セイコーマチックカレンダー
(83MC:8305-5000)
スカイライナーカレンダー
(SLNC:6222-5010)
83セイコーマチックカレンダー
(83MC:8305-0030)
61スカイライナーカレンダー
(61SLC:6102-0010)

製品ラインナップとして、手巻、自動巻双方の顧客ニーズに応えるためのものだったと思われる。

3.機械

(1).基礎輪列

8305Bに手巻機構を付加したが、巻く時の感触はあまり良い物では無く、補助的な機構として付けたものか?。
後の51マチックP、51プレスマチック、56ロードマチックが全て自動巻ながら手巻機構を搭載していることから、時代の要請に応えたものと思われる。

(2).自動巻機構

回転錘(ローター)も「ボールベアリング」が組み込まれた薄型となっている。
セイコーマチックスリムと全く同じ機構。
ローター刻印は「SEIKO」「30 JEWELS」。

(3).カレンダー機構

セイコーマチックセルフデーターと同様、リュウズを1段引き出して回せば日修正可能(午後8時〜翌日1時までの間は日修正不可)。2段引き出して回せば時刻修正可能。

(4).自動巻受けの形状

1965年後期の製品において、ローラーロック反転歯車周辺の「切り欠き」が大きくなっている。
組み立て時の作業効率を向上させるために形状が変更されたものと思われる。(ローラーロック反転歯車のホゾ入れを容易にするため。)

8305C:前期型
8305C:後期型

4.当時の価格

SGPケースは「セイコーマチックカレンダー」の16,000円と比較して割り安のようだ。
夜光付文字板は8305−1010のみ、Fタイプは8305−8050、8051。

ペ ッ ト ネ ー ム
CAL No.
石数
側質
防水
現金正価
83セイコーマチックカレンダー
(SEIKOMATIC−R)
8305C
30石
SS/SS
防水
14,000
SS/SS(夜光付文字板)
15,000
SS/SS(Fタイプ)
15,500
SGP/SS
15,000

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