Original:04.7.5
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製品名:セイコーマチック・スリム キャリバーNo:830 石数:30石 略称:MAM 機械落径:28.60@mm 機械厚ミ:3.80mm テンプ振動数:18,000回/時 発売開始(セイコー社資料より): 最古確認個体: 最新確認個体: |
1.特徴
新設計の薄型自動巻機構を搭載した、時代の要求に応える超薄型自動巻製品です。
新製品紹介(セイコーニュース:1963年12月)より超薄型自動巻の誕生です。機械の厚さわずか、3.80mm、巻上輪列をムーブメントの中に組み込む事により薄型化に成功したものです。名実共に紳士用ウォッチの第一級品です。
小売価格 SS側 11,500円
ASGP側 13,500円
1963年当時は自動巻腕時計全盛期で、既に1962年に日付カレンダー付きの「セイコーマチックセルフデーター(394)」、1963年には「マチックウィークデーター(400)」が発売されており、このマチックスリムの名前の通り「薄い」というだけでは消費者に訴える魅力は「薄かった」のでは無いかと思われます。
というのは、この「マチックスリム(830)」は、現存数が少ない割にはデッドストックを見かけますので、当時はあまり売れなかったのでは無いかと思われます。
この「マチックスリム(830)」をベースとして翌1964年に日付付きの「マチックスリムデート(840)」が発売となり、後に防水ケースの「83マチックカレンダー(8305B)」、手巻き機構を付加した「SEIKOMATIC−R(8305C)」、曜日付きの「83マチックウィークデーター(8306A)」へと進化し、更に51マチック、56ロードマチックへと受け継がれる基礎を作った製品と言えます。
2.外装
この当時は薄型で大振りな腕時計が流行っていたそうで、セイコーマチック603系の外装デザインを継承したおとなしいものとなっています。
初代セイコーマチック:603 セイコーマチックスリム:830 裏蓋にやや厚みがあるが、厚みを
感じさせないケースデザイン。 裏蓋も薄くなり、更に薄さを
強調するケースデザイン。(1).ケース
薄型のケースデザイン。ポコケースと呼ばれる非防水ケースの裏蓋にはゴムパッキン(Oリング)が採用され、気密性を高めている。(当時の手巻き「ロードマーベル」、「クラウンスペシャル」と同様。)種類は、SS、SGPの2種類のみ。
(2).文字板
ADのみを確認。細身の秒針が83系の特徴。
3.機械
(1).基礎輪列
603系の「マジックレバー」方式とは異なる「ローラーロック反転車」を採用した新設計の自動巻専用機械である。
603系は、手巻の兄弟機種「ライナー(3140)」があり、薄型手巻機械に自動巻機構を載せたものであるが、この830は自動巻機構を機械に組み込む新設計で薄型化に成功している。
また、603系の弱点であった香箱真の軸受けも、この830では香箱真の上下軸受けに当初より石を入れ、更に香箱自身の磨耗を防ぐため香箱真の摺動面積を広く取ってあり、耐磨耗性の向上が図られている。
機械外観
830 香箱受、三番受は一体になって一番受となっている。「WINDING→10T=24H」マークは『巻車を矢印方向に10回転すればゼンマイが24時間分巻ける』ということを示す。
(修理の際、手巻機構が無いため。)石入箇所
香 箱 車 2個 上下穴石 二 番 車 2個 上下穴石 三 番 車 2個 上下穴石 四 番 車 4個 上下ダイヤフィックス ガ ン ギ 車 4個 上下ダイヤフィックス ア ン ク ル 4個 上下穴石、出入ツメ石 テ ン プ 5個 上下ダイヤショック、振り石 秒 針 1個 カナ上穴石 反 転 車 2個 上下穴石 第一伝エ車 2個 上下穴石 第二伝エ車 2個 上下穴石 計 30個(2).自動巻機構
自動巻機構は、全歯車式で回転錐(ローター)が左右どちらに回転しても常に一方向にゼンマイが巻けるように「ローラロック式反転車」を備えている。
歯車巻き上げ方式の特長
・バネなどを用いないので摩擦損失が非常に少なく、伝達効率が良く耐久性に優れる。
・作動が安定している。
・自動巻コハゼを必要としない。
回転錘(ローター)も「ボールベアリング」が組み込まれた薄型となっており、細い溝を入れてバネ性を持たせ衝撃が加わった場合それを吸収させるようになっている。
「SEIKOMATIC 30 JEWELS」
「SEIKOSHA」
「830」4.当時の価格
ペ ッ ト ネ ー ム CAL No. 石数 側質 防水 現金正価 セイコーマチック・スリム 830 30石 SS/SS 非防水 11,500 ASGP 13,500